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PRRS, PRDC | 2018.11.9 Pig Health Today

生産成績を指標に、正しくPRRSワクチンの有効性を評価する

ホセ・アングロ 獣医師 ゾエティス(米国) PRRSスペシャリスト

Q:フォステラPRRSを投与した豚の豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)症状をモニタリングすることについて、現場からいくつかの質問が寄せられています。ワクチンによって豚群が守られているかどうか、どのようにしたら分かるのでしょうか?

PRRSワクチンを投与した豚を週齢ごとにELISA法で検査した場合、その結果に一貫性がない場合があります。血清検査は曝露量を測定するための貴重なツールですが、PRRSワクチンによってどれほど防御されているかを明らかにするものではありません1。また、弱毒生ワクチンを投与した豚が、PCRで陰性になるのも見たことがあります2。ELISAやPCRの結果が一貫していない場合や、陰性の場合であっても、防御できていないわけではないことを覚えておいてください。

Q:なぜPRRSワクチン投与後の検査で防御されているかわからないのですか?

PRRSウイルスの主な感染部位は肺であり、血液ではありません3。そのため、血液や口腔液を採取してもウイルスの増殖を測定することはできません。だからこそ、弱毒生ワクチンの有効性を判断する方法として、血清学的検査やPCR法を推奨していないのです。さらに、何十年にもわたる徹底した研究にも関わらず、PRRSウイルスに対する防御的な免疫応答について完全に解明されていません。防御免疫応答を測定する検査キットが市販されていないのはこのためです4

Q:検査結果に一貫性がなかったり、陰性であったりする理由は他にありますか?

(前述の回答のように、ワクチン効果を抗体検査等で判断することはあまり意味をなさないのですが、)ワクチンが、例えば投与量の削減などにより、用法用量通りに適正に投与されていないと、当然、検査結果に影響を与えます。多くの場合、PRRSウイルスに対する母豚からの移行抗体が原因で、ワクチン投与後の抗体陽転が遅れたり、ウイルス血症の持続期間が遅れたりすることがあります5。血液中のウイルス量が少なすぎたり、または1~2日しかウイルスが出現していなかったりする時はウイルス遺伝子を検出できないかもしれません。検出するためには、毎日、採血する必要があります。

Q:フォステラPRRSを投与した子豚はワクチン由来のウイルスを排出しますか?

ウイルス排泄期間が長くないのが、このワクチンの特長です6。ウイルス排泄や拡散がより少ないことから、ウイルスの復帰突然変異(リバージョン)や組換えが起こるほどではありません。

Q:ワクチン効果を測るうえで確実性の高い検査が存在していない中で、何をもってフォステラPRRSが有効であると言えるのでしょうか?

PRRSワクチン投与後の防御力を測定するゴールドスタンダードは、呼吸器を指標にした攻撃試験です。フォステラPRRSは多くの研究においてこの方法が用いられ、遺伝的に多様なPRRSウイルス野外株に対して交差防御がなされるという明確な証拠があります7

野外試験では、断尾や歯切等の出生後処置時(1日齢以降)にフォステラPRRSを投与した豚群は、ワクチンを投与していないコントロール群よりも良好な成績をおさめています8,9。さらに、PRRSウイルスに感染したことがない豚を対象とした臨床試験では、フォステラPRRSワクチン投与後にELISAとPCRの検査結果が常に陽性であることが示されています10

攻撃試験は生産者にとって非現実的であることから、現場でワクチンの有効性を示すには、PRRSウイルスに感染した豚のへい死率、成長率、飼料効率、出荷日齢などといった成績がもっとも良い指標となります。ゾエティスでは、継時的にグラフ化して、ワクチンの有効性を客観的に、統計学的に評価することに役立てています。

Q:フォステラPRRSのユニークな特長は何ですか?

2004年にゾエティスの研究者は豚の細胞にCD163という部位があることを発見しました。これはPRRSウイルスの受容体で、PRRSウイルスに対して感受性があります11。フォステラPRRSの抗原となるPRRSウイルスは、CD163受容体を発現しているブタやハムスターの細胞で継代培養することで弱毒化されています。この方法により、フォステラPRRSのウイルス株は肺胞マクロファージに容易に感染することができます。フォステラPRRSは、迅速に防御を開始し強固な免疫を誘導したあと、ワクチンのウイルス株は豚の免疫システムによって排除されます12

Q:フォステラPRRSで最善の結果を得るために、生産者は何をすればいいのでしょうか?

PRRSワクチンは投与タイミングが重要です。子豚は、しっかりした免疫応答を獲得するために時間がかかります。フォステラPRRSは用法用量に「1日齢以上の豚」と記載されていますので、早期からワクチンを投与することができます。離乳舎でPRRSウイルスが循環して問題になっている場合、フォステラPRRSは出生後処置時でも投与することが可能です。また安全性や効果についても確認・報告されています13,14

最後になりましたが、すべてのワクチンは正しく保管し、正しく取り扱い、正しく投与されて初めて効果を発揮するものだということを忘れないでください。作業される方たちがワクチンの正しい取り扱いと注射のトレーニングを受け、正しい用量を投与していることを確認してください。特にPRRSという病気に対しては、ワクチンの投与ミスを許す余地はないのです。

  • 1.Christopher-Hennings J, et al. Porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) diagnostics: Interpretation and limitations. J Swine Health Product. 2002;10(5):213-218.
  • 2.O’Loughlin M, et al. A pilot study evaluating maternal antibody interference with Ingelvac PRRS® MLV and Fostera® PRRS vaccines. Proceedings Am Assoc Swine Vet. 2015;333.
  • 3.Porcine Reproductive & Respiratory Syndrome (PRRS). The Pig Site. https://thepigsite.com/disease-guide/porcine-reproductive-respiratory-syndrome-prrsyndrome-prrs/ Accessed June 12, 2018.
  • 4.Murtaugh M, et al. Immunological solutions for treatment and prevention of porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS). Vaccine. 2011;29:8192-8204.
  • 5.Misener M, et al. Delayed PRRS virus seroconversion after vaccinating neonatal pigs. Proceedings International Pig Vet Soc. 2002;534.
  • 6.Madapong A, et al. Humoral immune responses and viral shedding following vaccination with modified live porcine reproductive and respiratory syndrome virus vaccines. Arch Virol. 2017;162:139.
  • 7.Angulo J, et al. Efficacy of a PRRSV MLV vaccine against a genetically diverse range of PRRSV isolates. 2015 Allen D. Leman Swine Conference.
  • 8.Jeong J, et al. Vaccination with a porcine reproductive and respiratory syndrome virus vaccine at 1-day-old improved growth performance of piglets under field conditions. Vet Microbiol. 2018;214:113-124.
  • 9.Aljets K, et al. Field evaluation of vaccination of piglets at processing using Fostera® PRRS. Proceedings Am Assoc Swine Vet. 2017;207-211.
  • 10.Data on file. Study Report No. 12PETBIO01, Zoetis LLC.
  • 11.Welch SKW, et al. A brief review of CD163 and its role in PRRSV infection. Virus Res. 2010 Dec.;154 (1-2):98-103.
  • 12.Pearce DS, et al. Live virus determination of PRRSV vaccines on primary porcine alveolar macrophages. Proceedings International Pig Vet Soc. 2014;158.
  • 13.Jeong J, et al. Vaccination with a porcine.
  • 14.Aljets K, et al. Field evaluation of vaccination.

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