豚の個体診療(IPC)は、病気の豚を早く見つけ治療するプログラム。IPCプログラムの産みの親の一人であるジョセフ・コナー先生がそのノウハウを解説します。
IPC, PRDC, AIF
特別インタビュー①
今日からはじめる豚の個体診療(IPC)
ジョセフ・コナー先生 カーセージ・ベテリナリー・サービス(米国)
豚の個体診療(IPC)とは?
IPCプログラムの中心に、豚をケアする農場スタッフに、豚を世話することの責任を理解してもらうことがあります。1頭1頭の豚に注目して毎日観察を行い、その豚について何をすべきか決定すること、そしてその結果として、格付けの高い豚をより多く出荷することです。
具体的には、豚を症状の軽い順にA、B、C、Eに分類し、各症状に何頭ずつ、どのような治療を施したかを記録します。この情報は、治療や治療後の結果を評価するのに役立ちます。
私たちは日々、豚の健康状態を確認し、症状がでて間もない豚を早期に見つけることに注力しています。早期に発見して、適切な治療を行った場合には、非常によい結果が得られるからです。すなわち生残率が高くなり、罹患率は低く、淘汰する頭数が少なくなります。
IPCを始めると、当然ながら、今までよりも少しだけ作業量が増えます。しかし、これは毎日行うべき作業です。一貫して同じ作業を行う体制ができてくると、実際の作業量や仕事の負担はとても少なくなります。そして、IPCの成果として得られる価値はとても大きなものになります。
IPCを取り組むべき農場のタイプ
IPCは全ての農場でも採用されるべきブログラムです。IPCは、私たちが毎日すべきことだと強調したいと思います。このプログラムのゴールは、農場スタッフが健康に問題のある豚を発見し、適切な判断をすることです。豚群の健康状態が良好な場合、病豚を発見するステップは同じですが、健康状態によっては、それほど多くの豚が治療対象にならない場合もあります。しかし、成功のための手順はどの農場でも全く同じです。
コナー先生インタビュー:IPCの基本ステップ(約3分)を視聴する
IPCを行うための追加の労力と時間
IPCプログラムの基本は、農場スタッフがほんの少しだけ長めの時間をかけて豚を1頭ずつ観察することです。私たちの経験と多数の研究からグレーサー病や連鎖球菌などの感染症では、感染初期の豚を発見して、早期に治療すると非常によい結果が得られることがわかっています。
離乳後30日間は特に労力がかかりますが、その後の治療の手間、治療コスト、へい死による経済損失を改善するという点で、IPCから得られる利益は、費やした労力に十分見合うものです。
豚の分類と対応方法
IPCでは、問題のある豚を見つけ出してA、B、C、Eに分類します。Eは簡単にわかります。Eは病気の発見が遅れ、動物福祉の観点から安楽死する個体だからです。A豚は、通常、肺炎や下痢の臨床症状を発現しはじめたばかりの個体です。A豚に分類された豚の症状はまだごく初期段階で、抗菌剤がよく効くのでドラクシン※またはエクセーデS※を利用します。A豚は治療して、豚房に残します。
※一次選択薬が無効である症例に限り使用してください
B豚では肺炎や下痢の臨床症状がより進行しています。B豚も通常、治療すると良くなります。重篤度によっては豚を隔離豚房に移動することもあります。
C豚では肺炎や下痢の臨床症状がかなり進行しています。背骨が少し見え始めていて、体重が大幅に減少しています。全く同じ集中治療を施しても、C豚は治療による効果があまりありません。このような豚は隔離豚房に移動しますが、回復率は非常に低い傾向があります。




