Q:PRRS(豚繁殖呼吸障害症候群)、豚インフルエンザ、豚サーコなどのウイルスおよびその他の疾病に関して関心が集まるなかで、マイコプラズマ性肺炎のような長年の問題は見落とされがちです。病原体であるマイコプラズマ ハイオニューモニエ(マイコプラズマ)は、豚群内でまだ一般的にみられるのでしょうか?
パントジャ獣医師:マイコプラズマは豚群内に確かにみることができます。この病気の対策は進歩しましたが、マイコプラズマは未だに広くはびこっていて、豚の肺炎の主な原因で、深刻な経済的影響を及ぼしています1。
マイコプラズマ , PCV2 , PRDC2019.1.28 Pig Health Today
ルシーナ・ ガリーナ・パントジャ 獣医学博士 ゾエティス(米国) テクニカルサービス部長

パントジャ獣医師:マイコプラズマは豚群内に確かにみることができます。この病気の対策は進歩しましたが、マイコプラズマは未だに広くはびこっていて、豚の肺炎の主な原因で、深刻な経済的影響を及ぼしています1。
パントジャ獣医師:マイコプラズマには、呼吸器の線毛に定着する特有の能力があります。したがって、豚の気道に絶え間なく存在し、症状のない感染豚の集団ができあがります。その豚群がほかの豚を継続的に病原体にさらしています2。これらの豚群がマイコプラズマ性肺炎の症状を繰り返すことになりますが、多くの場合は他の病原体にも感染しています。このような豚群は、臨床的には、肥育中期から出荷までの間に見られ、豚呼吸器複合病(PRDC)と診断される傾向にあります3。このステージでの健康被害は特に経済的損失が大きくなります。
パントジャ獣医師:いいえ、マイコプラズマにかかった豚は同じ症状を呈します。乾いた咳、苦しい呼吸、食欲不振です。マイコプラズマ性肺炎の問題は、その持続性です。 PCR試験において、最初の暴露から15~30週間後までマイコプラズマ感染が持続する場合があることが示されています4。飼料効率が慢性的に低下し、他の呼吸器病原体のさらなる感染の機会が増えて、PRDC症候群のより重度な状態、つまり”パーフェクトストーム(いくつもの嵐が重なって壊滅的な状態)” となってしまうのです。
パントジャ獣医師:はい、それは相当な金額です。肺病変面積が10ポイント増加するごとに、出荷日数が約17日長くなることが推定されています5。米国の経済試算によると、マイコプラズマ感染の場合は1頭あたり1ドルの損失ですが、マイコプラズマと豚インフルエンザウイルスやPRRSウイルスに複合感染した豚は1頭当たり約10ドルもの脅威的な損失になります6。
パントジャ獣医師:はい、あります。ある研究では、マイコプラズマに感染した農場の近くにある農場や家畜運搬車の駐車場の近くにある農場は、マイコプラズマの再感染リスクが高いことがわかっています。また、複数の農場から豚を導入している農場もリスクが高く、繁殖農場と比較して肥育農場のリスクも高いことがわかっています7。この研究はヨーロッパで実施されましたが、マイコプラズマの伝播についてはアメリカでも当てはめることができます。
パントジャ獣医師:マイコプラズマは、いくつかの理由で巧妙な病原体でもあります。まず、マイコプラズマには宿主の免疫反応を変える能力があります。いくつかの研究では、マイコプラズマ感染によって一旦活性化されたマクロファージは、その後に他の病原体の感染を受けると貪食反応が著しく低下することが示されています8。加えて、マイコプラズマは表面抗原の遺伝子発現が多様です。これにより、感染後の免疫記憶を免れることができるのです。最後に、マイコプラズマに対する細胞性免疫と液性免疫の応答は、完全なかたちで防御していないようです9。
パントジャ獣医師:養豚産業では、子豚の早期投与を含むワクチン投与で良い結果が得られています。オールインオールアウトやマルチサイトの生産システムも役立ちます。感染ピーク時には、抗菌剤の治療が意味をなします。しかし、流行している環境下では、これらの対策は、個々に使用されようと組み合わせて使用されようと、臨床症状の有無にかかわらずマイコプラズマ関連疾患を完全にコントロールできませんでした。したがって、予防に焦点を合わせることが重要です。母豚舎に候補豚を導入する際に、マイコプラズマに対する免疫レベルを似たような状態にして、均一化することもこれに含まれます。
パントジャ獣医師:まず、すべてのマイコプラズマワクチンが同じというわけではないことを認識することが重要です。前述のように、マイコプラズマはしつこく広くはびこっている感染症で、出荷体重に達するまで豚にとって脅威であり続けます。ワクチンの免疫持続時間を確認することが重要です。ワクチンが有効であることが実証されている期間のことです。ワクチンの免疫持続期間は感染期間より長くなければなりません。米国の農務省動物用生物学的製剤センター(USDA Center for Veterinary Biologics)によって審査・承認された最近の研究10では、フォステラ® メタスティムPCV-MHのマイコプラズマ抗原は、マイコプラズマによる肺病変を軽減する効果がありました。さらに重要なことは、フォステラ® メタスティムPCV-MHは、マイコプラズマとPCV2の両方で23週間の免疫持続期間を示した唯一の混合済みワクチンだということです。
パントジャ獣医師:このワクチンは、マイコプラズマ性肺炎を減らすのに役立ちます。これにより、豚が生まれながらに持った発育能力や市場価値を最大限に引き出すことができます。しかし、マイコプラズマのコントロールには、離乳時の子豚に焦点をあてた包括的なアプローチが必要です。離乳時にマイコプラズマ陰性、または有病率が低いことが望ましいです。加えて、離乳期の子豚がマイコプラズマ性肺炎またはPRDCを発症する可能性を最小限に抑えるためにワクチン投与する必要があります。マイコプラズマ対策を成功させるには、適切なバイオセキュリティとPRRSや豚インフルエンザなどの併発する疾病のコントロールも重要です。
ここからは要指示医薬品を含む動物用医薬品に関する情報を提供しています。
獣医療関係者を対象に、日本国内で動物用医薬品を適正に使用いただくため、日本の承認に基づき作成されています。
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獣医師・獣医療関係者 一般の方