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ゾエティス・ジャパンの社長・加藤克利が業界や業種の壁を超えさまざまな人物と異業種対談を行うスペシャル企画の第三弾
今回は小泉政権下で様々な改革の実行役として手腕を発揮した竹中平蔵氏に改革の真実について伺った。日本を変えた人物が語る「変革の奥義」とは?

加藤 克利
KATSUTOSHI KATO

ゾエティス・ジャパン株式会社代表取締役社長。1966年7月4日東京都神田生まれ。大学卒業後に会社勤務を経て米国大学院に留学し、MBAを取得。2010年、ファイザーにコンパニオンアニマルビジネス統括部長として入社。2016年5月1日49歳で社長就任。

竹中 平蔵
TAKENAKA HEIZO

経済学博士。1951年3月3日、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、ハーバード大学客員准教授などを経て、2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣に就任。以後、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣を歴任した。現在、東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授。


加藤克利
竹中さん、本日はよろしくお願い致します。本日の対談は恵比寿にあるMLB cafeで行われていますが、この席のまわりにもメジャーリーグにゆかりのある写真やグッズが飾られています。竹中さんもメジャーリーグにはご造詣が深いとお聞きしていますが、本日の対談でも「業界メジャーリーグ化構想」としてメジャーリーグに触れさせていただきます。さて、竹中さんとは、以前にお会いしたことがありまして、実は同じマンションに住んでいたことがあるんですよ。
竹中平蔵
エッ、それは知りませんでした。
加藤
当時、私はそのマンションの管理組合理事長をしておりまして、その時に同じマンションの住人であった竹中さんの姿をお見かけしたことがあります。
竹中
それはそれは、その節はお世話になりました(笑)。
加藤
さて早速ですがお話を進めさせていただきます。竹中さんは2001年、50歳で小泉内閣の経済財政政策担当大臣に就任されました。私は49歳でゾエティス・ジャパンの社長に就任しました。同じような年齢で大きなチャレンジがあったという点で非常に親近感を覚えています。 あのときに竹中さんや小泉純一郎さんによって日本社会には様々な「変革」が起きました。それにしても、あのときは不良債権処理や郵政民営化などを任され、筆舌に尽くしがたい苦労があったと思います。よくぞ学者から政界というジャングルに飛び込まれましたね。
竹中
本当、よく飛び込んだなと思います。
加藤
大臣を引き受けたのは小泉さんからの要請だから、改革が進んだのは小泉さんがリーダーだから、という考えはありましたか?
竹中
ええ。小泉さんでなければ大臣は引き受けていないし、その後の色々な案件の処理もできなかったと思います。リーダーである小泉さんの逸話はそれこそ山ほどありますが、とにかく指示が明快で絶対にブレない。これは人を動かす立場なら一番大事なことですよね。会社勤めをしていて「ウチの部長は指示が良く分からないし、言っていることがよく変わる」。そういう上司の下ではいい働きなんてできません。大臣を務めた五年五カ月間、ブレない大切さをいろんなところで身に染みて感じました。
加藤
竹中さんは五年五カ月で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、最後には総務大臣まで歴任されて、郵政民営化・不良債権の処理とまさに日本を変えたと思います。ゾエティス・ジャパンは動物薬業界におけるリーディングカンパニーです。そのトップとして私は業界を変えたいと思っています。
竹中
経済学者として、加藤さんがどういう改革をお考えなのかぜひ伺いたいですね。まず社長就任の話があった時はどのような心境でしたか?
加藤
私は昨年の5月1日付でゾエティス・ジャパンの社長に就任しました。就任のニカ月前に日本も統括するアジア太平洋地区の責任者から内示があったのですが、不思議と特別に「嬉しい」とか「プレッシャーだ」という感情は生まれませんでした。と言うのも社長になったからといって今まで以上に頑張るというわけではありません。今までだって一生懸命やってきて、社長になっても頑張ることは変わらないわけです。「社長になる」と決まっても自分はそういう状態でした。
竹中
平常心でいることはリーダーとしてとても大切なことだと思います。社長になった加藤さんが一番に変えようと思っていることは何でしょうか。
加藤
私はゾエティス自体の改革も目標ですが、リーディングカンパニーの社長として動物薬業界全体を改革したいと考えています。自分では 手に「業界メジャーリーグ化構想」と名付けています。これが私のブレない方針ですね。
竹中
メジャーリーグ化!聞いただけで思わず引きつけられるキーワードですね。どういうものなのでしょう。
加藤
まずは弊社が携わる業務とその役割をご説明させてください。この業界は仕事を通しての社会貢献度が非常に高いと感じています。ゾエティスには三つの基幹となるビジネスがあります。一つ目がペット向けの薬です。予防薬、治療薬で犬や猫などペットのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を向上させることを目的にしています。それは同時に飼い主の皆さんのQOL向上にもつながっていると考えています。二つ目に畜産用の薬があります。牛、豚、鶏などの動物が対象で、これは人間の食に直結しています。安全な食を提供するのも重要な社会貢献のひとつです。そして三つ目は農薬です。日本の文化である松を守る薬と、野菜や果物を病気から守る薬があります。このように弊社や業界全体の社会貢献の度合いは非常に高いですが、その割には世の中の認知度が低い。業界全体の底上げをして、しかるべき認知レベルまで持っていく。これが私が勝手に名付けた「業界メジャーリーグ化構想」です。メジャーリーグと言えば誰もが認める野球の最高峰のリーグ。最高の選手が最高の試合をし、その存在を誰もが認め、その社会的な意義はとても大きいものです。動物薬業界もその存在意義を誰からも認められるものにしていきたいです。

竹中
業界をメジャーリーグ化するために加藤さんが具体的に考えていることは?
加藤
この構想の実現には三つの具体的な方法 があります。一つめがイノベーションによる市場の活性化です。ゾエティスでは他社の追随を許さない革新的な製品を多く持っていますしこれからも出し続けます。その姿勢を貫いて業界を盛り上げていきます。二つめがコンプライアンスの強化と徹底です。非常に残念なことですが、昨年から今年にかけて、同業他社がコンプライアンス違反によるいくつかの行政処分を受けました。我々、ゾエティスはコンプライアンス遵守を徹底し、動物薬業界全体におけるコンプライアンスを高める取り組みに大いに協力していきます。最後、三つめは業界の構造改革です。我々の業界は非常に古い商慣習の上に成り立つ旧態依然とした業界になります。そのような中、メーカー、卸などそれぞれが役割の見直しと再定義をし、お客様にさらに高い価値をご提供する。お客様が望むものの実現をサポートすることが重要だと考えています。
竹中
それは素晴らしい!リーダーというのは組織の中に変化を持ち込める人のことだと思っていますが、加藤さんは十分にリーダーの資質をお持ちですね。それに加えてリーダーに必要なのは「バルコニーに駆け上がる」という姿勢です。リーダーは現場に責任を持つ必要があります。現場こそがビジネスの場でもあるわけですからね。ただ現場だけを見ていては全体像が分からなくなります。そのときにバルコニーから、いわゆる組織を俯瞰的に見ることが必要になる。あっちの現場ではこう言ってる、こっちはこういう言い分だ。じゃあどこを変えればいいんだ、となったときにバルコニーから見ると「あ、ここが問題なんだな。ここを変えればいいんだな」ということがわかるわけです。
加藤
ゾエティス・ジャパンにはリーダーシップチームと呼ばれる経営メンバーが私以外に十名いますが、彼らにも「ひとつ上の視点に立って物事を考え、行動してほしい」と常々言っています。まさに竹中さんのおっしゃる「バルコニーに駆け上がれ」ですね。
竹中
以前、私はこんな面白い経験をしたことがあります。インドにリライアンスという財閥があって、そこのムケシュ・アンバニ代表から 「アドバイザーになってくれないか?」というオファーがきました。一年に二、三回くらいインド・ムンバイに招かれて「日本、中国、韓国のことを聞きたい」と。世界の他の地区を担当するアドバイザーと五人くらいで二日間缶詰になって議論するんです。要は我々はアンバニ代表直結の情報源なんですよ。これは面白いことをするなあと感心しましたよ。
加藤
複数の情報源、ニュースソースを持つこの重要性ですね。私も組織のトップに立ってそれを強く感じているところです。
竹中
企業というものは大きくなればなるほど官僚化して、トップのところには絶対にいい話しか上がってきません。担当取締役からの情報はすごく重要ですが、それを常に横からチェックする機能をトップは持っていなければならない。アンバニ代表が私を含めて世界からアドバイザーを招いたのもそういう理由だったと思いますね。
加藤
実際に竹中さんも大臣時代にそうした経験を?

竹中
金融担当大臣時代に役所からの情報だけではなく、別ルートにも情報網を張っていたんです。ある案件に関して役所からは「大丈夫です」という報告が来たけど、別の情報源からは「雲行きが怪しい」というニュースが入った。金融庁の部下には「わかった」と言いながら、別の事態に備えた準備も始めていました。まあ、これはひとつの事例に過ぎませんが、別の情報源がある、となると部下はすごく緊張するんですよ。「うちのトップに普通の報告は通じないぞ」とね。ぜひ加藤さんにもそういうダイナミズムの中で改革をやっていってほしいですね。
加藤
リーダーの重要な業務の中の1つに人事上の決断があると思います。小泉さんは竹中さんを大臣に登用し、歴代の総理大臣と比べてまったく違う人事をしました。小泉さんの人事についてどう評価されますか?
竹中
組織で何かを変えようと思うとものすごく時間がかかるんです。ところが、人事は即効性があって、すぐにメッセージを伝えることができます。人事を変えるということは、「これで組織が変わるぞ、変えていくぞ」というメッセージなわけです。例えば私みたいな人間を大臣にする。そうするとただの人事がメッセージ性を持ち、「なんだこれは!?」「何が起きるんだ!?」という期待が生まれる。逆もまた然りで、「これじゃ何も変わらないよ」と人事発表の時点でやる気を削ぐ危険性もある。それほど人事というのは戦略性のあるものですね。
加藤
よくわかりますね。さらに人事というものは組織に化学反応を生むものですよね。いかにいい化学反応を起こさせるか、そういう人事を実行することもリーダーの務めだと意識しています。さて、メッセージ性という言葉が出たところで、 2001年5月7日、小泉さんが国会で行った所信表明演説のことを伺います。あの演説に私はすごく感動しました。(以下、一部引用)<私(小泉純一郎)は「構造改革なくして日本の再生と発展はない」という信念の下で、経済、財政、行政、社会、政治の分野における構造改革を進めることにより、「新世紀維新」とも言うべき改革を断行したいと思います。痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、「恐れず、ひるまず、とらわれず」の姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを確立していきたいと考えております>(首相官邸ホームページより)まさにこちらにビシビシと伝わってくるものがあって、あれこそがリーダーのメッセージだな、と思っていました。竹中さんは小泉さんの演説を聞いて、どうお感じになりましたか?
竹中
日本をこれから変えていくんだという強い意志を感じましたね。聞いているこちらも興奮しましたよ。新たな時代の始まりなんだな、と昂ぶりを覚えました。
加藤
私も社長就任後、最初の全社会議を金沢で開催して、そこでいわゆる所信表明演説にあたるプレゼンを行いました。一年以上経った今でも「あのときのプレゼンはすごく印象に残っている」と言われます。
竹中
ほう。どんなプレゼンだったのですか?
加藤
プレゼンにあたって一番に考えたのは社員全員に自分の思いを率直に伝えるということでした。そのためにパソコンのパワーポイントのスライドは一切、使いませんでした。普通はスライドがあった方が聞く側は目からも情報が入ってくるので理解しやすく、話す側も説明をしやすくなります。でもスライドがあることで逆に言葉から魂を抜いてしまっている、と。スライドを見てわかったような気になっているけど、実際は何もわかっていない。「新しい社長の話、なんだったっけ?」という風にはしたくなかったので、自分の言葉だけでプレゼンをしました。しかも和服で登壇しました。新社長として社員にきちんとメッセージを発信できたと手応えを感じましたね。
竹中
和服!着物でプレゼンを行うなんて、それはいいアイディアですね。
加藤
ところで竹中さんは大臣時代、ダボス会議に。0泊3日という強行軍で参加して、日本の構造改革の取り組みなどをまさに世界に発信されていました。あれはどういう考えで参加されたのですか?
竹中
よくぞ聞いてくださいました。ダボス会議というのは、企業でいうところのインベスター・リレーションズ(1R)の場だと思うんです。企業のトップになったら投資家に向けて社の状況を説明するのと一緒で、ダボス会議は自国に関する情報を発信して、世界中に我々はこういうことをやっていると知らせる場所です。特にあのときは、日本の不良債権問題はどうなるんだ、と投資家が戦々恐々としてたわけですからね。これは参加して説明しなきゃならんだろう、と。あとダボス会議はメディアでの露出量がG7の2倍くらいあるんですよ。だからどの国も参加するわけです。日本のメディアは勉強不足なので、ダボス会議でこういう評価だったとなると、日本国内のメディアの扱いも変わってくる。そのふたつの思いがあって参加したんです。
加藤
非常に共感できるお話です。私自身、リーダーとして情報発信の重要性について非常に強い思いを持っています。というのもこれまでこの業界は、外への発信が少なく、すべてが内向きだったのです。社長に就任した私はゾエティスという会社のセールスパーソンであると同時に、業界のセールスパーソンだと思っています。今回で三回目になるこの対談も業界内外への発信ツールです。その他にも型破りな広告も行いました。
竹中
間寛平さんを使った新聞広告は、非常にインパクトがありましたね。私、関西人ですからああいうのに非常に敏感で「これ、おもろいな」と(笑)。
加藤
ありがとうございます。あの広告も、大きな投資であるため、リスクもありましたが、思い切ってやってみました。やってみて結果として、会社の認知度向上という面でも相当効果があったという検証が出ており、ホッとしています。
竹中
今、投資のお話が出ましたが、イノベーションだ、革新だと企業の皆さんはおっしゃいますが、新しいアイディアを形にして、何かを生み出すときに支えるのは資金、そしてそれを提供するフィナンシェなんですよ。私はよくコロンブスを例にあげるんですが、イタリア人のコロンブスの冒険にお金を出したのはスペインのイザベル女王なんです。「西に行けばインドがある」という誰も本気にしなかった話に乗ったわけです。あの女王が世界で最初のべンチャーキャピタルだったという見方もできます。お金を出す人ほど物事に真剣に当たるわけです。企業でいえば社内で出てきたアイディアについて、社長はいかにリスクをとって予算を割り当てるかという決断を迫られます。お金を出す、予算をつける人がリスクの最終引き受け役ですよ。この人たちがいないと、イノベーションというのは実現しないんです。
加藤
はい、とてもよくわかります。イノベーションはゾエティスの強みのーつですし、イノベーションの実現に積極的に投資しています。
竹中
この言葉は今、経済学の共通のテーマとなっていますが、シュンぺーターが最初に定義化しました。ただシュンぺーターは最初からイノベーションという言葉を使っていたわけではありません。彼が最初に使ったのは、「新結合」という言葉でした。
加藤
新結合、ですか?
竹中
そうです。その言葉どおり新しい結びつきで生まれる革新のことです。たとえばジェームズ・ワットが発明 した蒸気機関。蒸気に力があることは誰もが知っていたけど、その力をどうやって使えばいいのかがわからなかった。ワットは蒸気の力と圧力を閉じ込める大砲の技術を結びつけたんですよ。これが新結合です。あと皆が手にしているスマートフォンは通信の技術とデジタル技術を結びつけた物です。周りを見るといろんな物が全部、結びついて生まれているんですよ。
加藤
既存の物と既存の物が組み合わされて、全く新しい物が出来上がる、と?
竹中
そうです。天から降ってくる特別なアイデアはごく稀で、やはりほとんどの発明は結びつきなんですよ。だから加藤さんも会社や業界の変革を進めるときに、結びつきというものを考えられたらいいのかな、と思いますね。
加藤
ゾエティスが扱っている薬も、言ってみれば成分と成分の結びつきからできています。新しい結びつきから新薬が生まれると思うし、ビジネスの仕組みも既存の物をくっつけたらまったく違う形ができることも考えられますね。
竹中
シュンぺーターの名前が出たので、ちょっと話を続けますと、彼は「資本主義はその成功のゆえに失敗する」という名言を残しています。これは企業が革新的なことをやっている間はどんどん発展していく。でも企業が成功して大きくなり、創業者や志を持ったリーダーの目が行き届かなくなると官僚化していく。それでリスクをとらなくなって、やがて衰退していく、という意味です。だからイノベーションを考えるときに私は、「新結合」と「成功のゆえに失敗する」というのと、フィナンシェ、資金提供者という最後のリスクの引き受け手。この三つを常に考えておくことが重要だと思います。
加藤
なるほど。大学の講義を聞いているようで勉強になります。さて今日、もうひとつ伺いたかったのが TPP (環太平洋パートナーシップ協定)のことです。我々もTPPで日本の農業がどうなるのかというのを最大の関心を持って見守っています。TPPが締結されて自由貿易となると日本の農業がダメになるという意見もありますが、私は逆だと思います。今までの農業が鎖国状態だとすれば、自由貿易というのは明治維新、開国ということです。明治維新で日本の産業が大きく発展したように、そこから日本の農業も第二ステージに進む大きなチャンスだと捉えています。日本の農業が持っている力は世界に誇れる。和食が世界ブランドになったのも根底を支えたのは日本の農業です。決して日本の農業は弱くはないと思います。

竹中
まさにおっしゃる通りですね。私はよくこの話をするんですが、日本の農業で世界的な競争力を持っている部分があるんですよ。それは種なんですよ。日本企業が世界のひまわりのたねを7割のシェアを持っていたりします。なぜかと言うと種は保護対象ではないから、ずっと国際的な競争にさらされていたからなんですね。守られていると企業や組織が弱くなるというのは当たり前のことです。TPPで競争にさらされたときこそ日本の農業の底力を見せるときだと思っているのですが……。ひとまずTPPはドナルド・トランプ大統領がひっくり返してしまいましたが、長期的に見れば自由貿易は利益をもたらすという根拠があります。今後を見守りたいですね。
加藤
よく分かりました、ありがとうございます。ところで竹中さんはペットを飼われていますか?
竹中
二年前に亡くなりましたが猫を二匹飼っていました。アメリカにも連れて行きましたから、うちの猫は太平洋を三回渡った国際派なんですよ(笑)。やはりペットがいる生活というのは素晴らしいなと思います。知人の教育関係者で面白いことを言う人がいて、いくつかの小論文を学生に書かせていい答えをする人物の家庭環境を調べてみたというんです。そうするとそういう学生には明快な法則があった、と。
加藤
どういった法則でしょう。
竹中
それは三世代同居なんですよ。要するに三世代同居というのは一番身近なダイバーシティ、多様性を持つ環境だと。小さい頃から祖父母がいる環境で育った学生は考える力が養われている、と。
加藤
それは参考になります。
竹中
それで考えてみればペットを飼うのも、身近なダイバーシティなんじゃないでしょうか。三世代同居では世の中は若い人だけではなく、お年寄りもいるという多様性が理解できる。ペットと暮らせば世の中は人間だけじゃない、動物もいるということが自然とわかるでしょう。そして世の中は多様性で成り立っているということ、そして命の大切さなどを身をもって学べるんじゃないでしょうか。
加藤
欧米では昔からペットは家族という意識が強く、日本でも最近はその傾向が高くなってきています。犬や猫と一緒にいるだけで相当な癒し効果もあるし、竹中さんがおっしゃったように身近なダイバーシティでもある。そうなるとペットの健康を守ることは、飼い主の穏やかな生活を守ることにつながり、ひいては日本社会全体のQOL (生活の質)の向上につながるのかもしれませんね。そういったアピールを進めるためにも、業界のメジャーリーグ化構想を早く実現したいと思います。
竹中
頑張ってください。最後にトップに立った加藤さんにひとつアドバイスを。
加藤
ぜひ、お願いします。
竹中
私が大臣になったときに小泉さんに「大臣やトップにオフレコ発言はないと思え」と言われました。こちらはオフレコだと思っていても、それは絶対にオフレコにならないからな、と。
加藤
私も社長になった際に「企業のトップは常に誰かに見られているからな」と言われましたが、それと同じですね。
竹中
そうです。私はもう大臣ではないので今日は好きなことを喋りました(笑)。加藤さんも業界のリーダーとしてますます頑張って下さい。
加藤
はい!私たちの日本をよりよくするためにも、業界の改革、そしてメジャーリーグ化構想を実現するためにも頑張ります。本日はありがとうございました。
竹中
こちらこそ、ありがとうございました。